3月を迎え、春の日差しが増してきた。庭の隅にはクロッカスが花を咲かせ、水仙の目も大きく膨らんできた。吾妻山の種まきウサギもくっきりと姿を見せている。例年より春の訪れが早い。山には雪が少なく、これからの水不足も心配である。
3月3日は雛祭り、女の子の健やかな成長を願うお祭りである。春の芽吹きの中で、健やかな子どもたちの成長を願う親たちの願いが込められている。その反面では、児童虐待の話題が絶えず、児童虐待防止法の改正が行われようとしている。我が子の健やかな成長を願わない親が本当にいるのか。なぜ虐待は起こるのか。虐待の事実に対する対処療法的な法的規制の強化だけで問題が解決できるのかというと大変疑問である。
福島県では新年度から、障がい者の差別解消や社会参加の促進に向けた取組みを強化することを目的とする「障がいのある人もない人も共に暮らしやすい県づくり条例」が施行される。これは、平成28年にスタートした「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)を具体化したものである。この法律では、国・都道府県・市町村などの役所や、会社やお店などの事業者が、障がいのある人に対して、正当な理由なく障がいを理由として差別することを禁止している。これを「不当な差別的取扱い」の禁止とし、これに基づき役所や事業者に「合理的配慮の提供」を求め、これにより障がいのある人もない人も共に暮らせる社会を目指すとされている。国から県に身近な問題の解決を目指す法律として整備されていくことは望ましい動きである。しかし、これらの法律が血の通った法律となるには、ハンディを持つ人々に寄り添い一つ一つ解決していく姿勢が求められる。
オリンピックが近づき、障がい者のパラリンピックも開催される。パラリンピックは身体障がい者のスポーツの祭典、知的障がい者ではスペシャルオリンピックスが行われている。精神障がい者のスポーツ大会はない。能力とハンディの違いによる配慮と差別は根本的に異なる。充分な観察と理解から生まれる配慮と無知・無理解から生まれる差別、今回の条例が、身近な周囲への配慮を考えられる切っ掛けとなることを期待したい。