今年は、春からコロナ禍の中で、慌ただしく年末を迎えた。例年通り、春にはひまわりの種が全国に送られたが、その後の感染対策として緊急事態宣言が出され、宣言の解除後も感染は治まらず、地域間の移動は制限され続けている。
ひまわり子ども大使の派遣事業は中止となり、多くの人が参加してきた「ひまわり感謝祭」も、3密を避けるためとして、人を集めての開催は自粛せざるを得ないこととなった。 直接に人が移動しての交流はできないが、それぞれの現場で収穫した種が、便りとともに続々と福島に届いている。今年も全国で自然災害が多く、便りの文面からは、福島への思いとともに、収穫までたどり着くことへの大変さをひしひしと感じさせるものが多い。
イベント時の規制と会場の入場制限等のため、ひまわり感謝祭の開催を危ぶむ声もあったが、コロナ禍に負けず少人数の参加となる中でもできる方法はないかということから、ひまわりプロジェクトに参加している皆さんの姿をまとめ動画として全国に配信することとなった。
動画にまとめることを通して、これまでの「ひまわり感謝祭」ではできなかった新たな可能性を広げることとなった。これまで「ひまわりプロジェクト」を支援し、シャロームのために曲を作って頂いたアーティスト3名(北海道:なおこバンド、岡山:シルバートーン、東京:菅野潤)からのメッセージ動画を中心に、ひまわりプロジェクトに参加し全国でひまわりを栽培しているみなさん、ひまわり子ども大使が繋いできた地域間交流を現地で支えてくれているみなさん、ひまわりの種の発送からひまわり油「みんなの手」・「ひまわりせんべい」を支えている障がいを持つ人仲間たちのみなさん、多くのみなさんの思いやりと優しさの輪が「ひまわりプロジェクト」を支え、「ひまわりプロジェクト」を作ってきた、その全体像が動画から見えてくる。それぞれの地から参加することのできる新たな「ひまわり感謝祭」の姿が見えてくる。
原発事故から9年を過ぎた今も、コミュニティの崩壊、目に見えない放射能への不安等が不安を増幅させ新たな人間関係の分断を生み出している。コロナ禍もまた目に見えない感染への不安が、三密と感染拡大のニュースから 不安を増幅させ新たな人間関係の分断を生み出していく。大きな災害に立ち向かうには、みんながそれぞれの場で、それぞれの役割を持ち、当事者意識を共有しながら支え合って生き抜くことを求められる。助け合うことの輪が新たなコミュニティの再生を可能にする。
コロナ禍は世界を急激に変えていく。来年は、人類試練の年である。