2023年5月 代表メッセージ
5月3日は憲法記念日、ゴールデンウィークの真っ只中にある。
岸田首相は、G7広島サミット(5/19~21)を前に、世界を飛び回り首脳外交に余念がない。地元開催のG7は、この上ない晴れ舞台、休んでいる暇はない。
共同通信社の憲法記念日の世論調査(5月2日福島民友)では、改憲議論を「急ぐ必要がある」49%、「急ぐ必要はない」48%と拮抗している。ここで、改憲の議論を今盛り上げようとすると目前のG7にマイナスに働くことも懸念されるのですべては先送りにしているように見える。
国会での憲法に関する議論がどのように行われているのかは、国民にはわかりにくい。現在は、衆議院・参議院にそれぞれ憲法審査会が置かれ、衆議院では今国会で週一回の定期開催、すでに9回も開催されているということである。これは、「改憲に対する思いはいささかも変化していない」との首相の発言を裏付けるように、準備は粛々と進められているということである。
憲法記念日にあたり改めて憲法の精神を思い返してみると、「憲法の規範の名宛人は公権力であり、国民に対して義務や責任を多く課すべきものではない。」ことを思い出す。憲法の精神にのっとり、立法を国会で審議し定めていくことは国の基本であるが、内閣の閣議決定が立法機関となり、法律の議論が国会審議の中で見られなくなって久しい。国会最終日に一括上程され可決された法律は、施行され一人歩きをはじめ、その後国民の生活を大きく変えていくことになる。自民党憲法改正草案は平成24年4月27日に決定されている。全文から天皇、ほとんどの条文が明治憲法の復活かと目を疑うような改正草案となっている。憲法改正論議の高まりの中で自民党の絶対多数を背景にこの改正草案が日の目を見ることがあってはならない。憲法論議の前提として、まずは憲法の精神をしっかり学び直していかなければと思う。