今年も年の瀬を迎え、気持ちだけは気忙しくなっていく。忘年会も復活し、会食の機会が増えてきた。シャロームの一年間を締め括る「第13回ひまわり感謝祭&第27回共に生きる仲間たちのコンサート」も会場でのマスク着用、消毒、検温等の規制もなく、コンサート中心のイベントとして開催される。生の演奏をコンサートホールでゆっくり楽しめることに感謝である。
第13回「ひまわり感謝祭」は、2011.3.11の東日本大震災・原発事故での県外からの支援に感謝し、福島の現状を発信していくことを目的に開始され13年を迎える。
今年は、原発事故により生じた汚染水を処理し溜め続けてきた処理水のタンクが限界に達し、海洋放出が8月から行われ年内に3回の放出が実施されている。現状のペースで行くと、今後数十年間継続することとなる。廃炉のための見通しも定まらず、汚染水の発生も止まらない現実は、人類に与えられた試練、子どもが賽の河原で石積みをしているようなものである。
福島民報が、12月2日から6日まで朝刊の一面に『【霞む最終処分】序章 処理水は語る』という特集記事を掲載した。見出しだけを日を追って紹介すると、2日『「その場しのぎ」足かせに』、3日『結論ありきの作業部会』、4日『小委の目的すり替え』、5日『理解醸成「うわべだけ」』、6日『放出決行へ約束上書き』と書かれている。その中で、政府の処理水への、政府のその場しのぎの対応が問題を複雑にしてきた経過が克明にまとめられている。13年間の時間の流れの中で、政府の対応が廃炉から再び原発の推進へと大転換され、すべてが推進を前提にした安全神話の再構築に向けて進んでいるように見えてくる。処理水は、原発事故から現在までの時間を静かに過ごし、事故の原点に戻っての問題点を改めて問いかけている。
中国の汚染水批判が、日中対立に利用され、原発推進への弾みをつけている。対立が戦争を生み、究極の破壊兵器の拡散・開発競争へと追い込まれていく。核兵器と原発は諸刃の剣、人類が破滅への道を歩むことのないよう今年1年間を振り返り、来年にむけての反省としたいものである。