自民党の派閥パーティー裏金事件が、収束に向けて動き始めている。自民党の政権を支えた主要派閥がこぞって行ってきた。派閥の拡大維持のため、傘下の議員への政治資金提供システムの一つが今回問題となっているパーティー券である。
選挙が近づくと政治資金集めを目的にパーティーを企画し、そのパーティー券の売り上げは政治資金報告書に記載されることと定められている。この売り上げの一部を政治資金収支報告書に記載せず集めた議員等に直接裏金として渡していた。それは、法律を作る立場の国会議員が、自分達で創った法律を軽視し、政治の私物化を率先して行ってきたということである。うっかり忙しいので忘れた事務的な記載漏れとは全く質の違う問題であるが、直接携わる経理責任者に責任を押しつけトカゲの尻尾切りで終わりを迎えそうである。
国の予算がほぼ決まり、福島県の予算案が2月2日に発表された。県の予算は1兆2381億円、国の予算は、112兆717億円(政府予算案12月22日閣議決定)、国の予算の約1.1%にすぎない。2022年のGDP(国内総生産)は、546兆円、国の予算規模はGDPの約21%となる。政権与党が過半数を維持し、その中心派閥となることができれば、国のGDPの21%に関与することができる。そこには、生産活動を担う企業群と政治の膨大な利権が生まれる。過半数を占める与党の長期化は、利権を巡る政治と金の癒着をもたらし、政治は腐敗する。政治を刷新するためには国会の機能を回復させることであるが、過半数を占める与党の長期化によって、国会の機能の低下とそれに代わる決定機関として内閣の閣議決定が政策決定の最高機関へと変化している。その与党内の個々の政策決定に大きな力を発揮しているのが派閥である。
国のGDPの21%を巡る企業間競争は、政治家への献金の土壌となり、新たな政策の決定が膨大な利権を生み出していく。過半数を占める与党が長期化する中では、模様替えをしても派閥政治はなくならない。1.1%の予算に関心を持ち、生活現場の地方から国を変えていくことが派閥政治を変え、地方分権を取り戻していくことである。
国への富と情報の一極集中化は、日本型専制国家への歩みを早め、利権を巡る派閥政治を変えていくことはできない。