吾妻山にも初冠雪、本格的な冬の到来も近い。今年も残すところがわずかとなってきた。「ひまわり感謝祭」の準備も本格的に。12月12日(土)、福島市のAOZで開催される「ひまわり感謝祭」は、シャロームの一年間の活動の成果を確認する場となっている。「ひまわりプロジェクト」が震災以後開始され、これに合わせて開始された「ひまわり感謝祭」、今回で第5回目を迎える。福島を支援してくださる人たちによって支えられている「ひまわりプロジェクト」、参加してくださる団体が年々増加している。感謝すべきことである。

原発事故から5年が経過した現在、日常生活の表面では何もなかったように生活が戻っている。避難者の話題も少なくなってくる。仮設住宅の住人とその地域の住人、何となくの既成事実が固定化する。仮住まいも、5年も住めば定住したも同然となる。当時1歳の赤ちゃんも来年は小学校へ、小学1年生も中学校へ、働いていた老人も介護保険の利用者に、そこには新たな生活が出来上がってくる。しかし、それは、問題が解決して新たな生活が開始されているとは到底言えない。住民一人一人が抱えている問題が分断されているため、みんなで声を上げることもできず、状況に流されながらその日を過ごしている。

除染が続く土地での農作物、価格は戻らない。帰還が可能になると賠償金はなくなり、仮設もなくなっていく。戻れない現実の中、年の瀬を向かえ、無事、年が越せるのか。年金暮らしの老人問題、国民年金だけでは生活していくことのできない現実。都市での土地は、居住空間であり、投資の対象となるが、地方では、土地は生産手段であり、生活の場となる。それぞれの立場で生じている問題は複雑で多様化していく。福島は、現代社会が抱える社会問題の先進地となった。

ひまわりが繋ぐ地域間交流は、思いやりの連鎖を生み、その種はひまわり油「みんなの手」として、次の年の「ひまわりプロジェクト」を支える財源となり、思いやりの経済循環を作り出す。思いやりの連鎖が、助け合いを生み、生きる喜びを与える。ひまわり感謝祭のテーマである「分かち合い、命かがやいて」生きていける社会に一歩づつ近づいていくことができる。個々の抱える問題は思いやりを持って寄り添うことで解決していく。

県議会選挙が始まっている。福島県は広い。地域により原発の影響は大きく異なる。住民の声なき声に耳を傾け、生活の場としての福島を守り育てていくことのできる議員であることを願いたい。