7月1日、「集団的自衛権の行使容認」の見出しが紙面のトップを飾った。さらに見出しは「憲法解釈変更を閣議決定」「戦後の安保政策転換」と続く。その理由を「周辺の有事で米軍などと連携しやすくする狙い」と政府はいう。
広島、長崎への原爆投下、終戦記念日へと続く暑い夏の始まりに一段と暑さを増しそうな話である。戦争の苦しい体験からの反省から生まれた日本国憲法、その苦しみを忘れないための式典が毎年広島の平和記念公園で行われる。原爆に被爆国の体験とともに、その中から生まれた日本国憲法は、日本にとって世界に誇る知的財産である。
「周辺の有事で米軍などと連携しやすくする」ということは、すでに有事が想定されていると考えなければならないのだろうか。オバマ大統領が、日本、韓国、東南アジア諸国を歴訪して帰ったのはまだ記憶に新しい。アメリカの国防長官は「日米同盟をより効果的にする」と日本政府の決定を歓迎する。大統領の来日から動きが加速しているように思える。差し迫っている有事に向けて、なりふり構わずの対応が求められているのではないか。 これからは、一段とアジアの緊張を加速させ、軍拡競争の時代に突入する。軍拡こそ政府主導で行える最も効果的な内需拡大の経済効果を発揮する。軍拡、原発輸出、日本が死の商人への道を加速させていく。それは悪夢の前のひとときのワインのようなものであるが。舵取り不能の難破船のように世界の渦に飲み込まれ破滅していくことだけは避けたいものである。