伊勢志摩サミットも終わり、先進国の団結を誇示するセレモニーは何事もなく終了した。国際社会への配慮を示す形で、消費税増税の延期を公式に表明した。参議院選挙がこれと期を同じくして選挙戦に突入した。熊本の大地震がなければ衆議院を解散し、衆参同時選挙を目指していたという話は巷でもよく聞かれる。

政治が、政治の政治日程に合わせ経済政策を決定し、経済状況を反映して経済政策を行うという流れになっているとは思えない。国内の経済分析に基づく国内での議論はなく、国際的な外国の経済学者の意見が突然クローズアップされ、国際的なセレモニーの中で、国民に最も密着し影響力の大きい消費税への判断がなされる。国民への配慮から延期すると判断したことに異論はないが、国内経済が低迷しており、九州での大地震も考慮したのであれば、まず国内で国民に向けての説明を行い、諸外国に理解を求めるべきではなかったのかと思う。

6月11日、福島で「人権フォーラムinふくしま―命をつなぐふくしまの未来」というイベントが計画されている。この開催の目的を次のように述べている。

「震災以降、シャロームは被災地のNPOとして子どもや避難者への災害支援活動を続けてきましたが、地域社会の急激な崩壊を目の当たりにしてきました。原発事故でコミュニティが分断されたことで、経済優先社会の中で進行していた地域社会の喪失が一気に加速したのです。原発事故が現代社会の課題を明らかにしたともいえます。

震災により多くの命が失われ、身近な人たちを失い家族が分断される中で『命』の重みが改めて問われています。政治や経済によって『命』が脅かされてはなりません。」(一部抜粋)

国民一人一人の「命」を守るための政治、それは「子ども」がいて「親」がいて「その親」もいる、家族が安心して生き続けられる社会でなければならない。「命」の重みを最優先に考え行動することが政治の使命であろうと思うとき、国民が後回しにされた今回の一連の政治判断においても、国民への配慮の欠如が気になるところである。