第4次安倍内閣が10月2日発足した。これに先立ち9月20日には総裁選が行われている。総裁選は、国会議員票と党員・党友による地方票が405票づつあり、投票の結果により決まるということである。地方票の1票が党員等の何票に相当するのかは定かでないが、安倍総理と石橋氏の地方票は224票と181票、石橋氏が44,7%を取っている。議員票は安倍総理が81.2%を占め圧勝しているが、この違いは何を意味するのか。
地方に対するのは中央、地方政府と中央政府の違いすると、中央政府は日本政府であり立法府の構成メンバーは国会議員、地方政府は地方自治体、そこで活動する現場の党員等ということになる。政治は権力を伴い、中央政府に集中する権力は長期政権化することでより強大化していく。この中央政府に依存する地方が、中央政府に批判的立場をとっている。地域と地方は異なるが、生活の場としての地域に最も身近な政府は地方政府である。そこには、国の政策と生活現場における実感に大きなずれがあることを反映しているのではないかと考えられる。
沖縄県の翁長知事が急死し行われた沖縄知事選挙、9月30日、翁長氏の後継者の玉城氏が当選し自民党支持の候補に勝利した。沖縄には、内閣府特命大臣(沖縄及び北方対策担当)が置かれている。ますます辺野古をめぐる国と地方の対立は激化することが予想される。
地裁で勝訴した原発訴訟も高裁では敗訴し、再稼働を認める判決が続いている。伊方原発では一度出された差し止めが覆り再稼働が容認された。最高裁に近づくにつれて、国の政策決定に反する判決は消えていく。裁判官の実質的な任命権は政権が持ち、国の決定した政治的判断に対する司法の介入はほとんど不可能となる。
初代の地方創生担当大臣を務めた石破氏、当時に地方創生のための「まち・ひと・しごと創生法」を成立させ、地方を巡りその実態に寄り添う姿勢を示したことが今回の結果に結びついているのかもしれない。地方の衰退は待ったなしの状態に来ている。住民が現場からの声を上げ続けることにより社会は変わっていく。