コロナワクチンの接種が本格化してきた。
高齢者の接種から一般への接種に若干の紆余曲折はあっても急速に進んでいくようである。しかし、接種開始に向けての予約での混乱はやはりまた生じてしまった。コロナ対策への対応、全てがネットでの対応を原則に行われている。使いなれた道具は誰でもが混乱なく使えるが、使ったこともない道具を預けられ、説明書通りに使えば誰にでも使えますと言われてもそれは難しい。
緊急事態宣言とは何か。日常の状態ではないことを意味する。原則は、災害時の対応と同じである。災害現場からの声に寄り添い、これに周囲からの支援を重ねていくことが大切である。現場の危険の優先度は、現場が一番よくわかる。これに対する方法も、まずは、現場にあるインフラを最優先に生かすことである。これにより災害被害を最小限にとどめることができる。
コロナ禍を1年以上経験し、ワクチンだけが救世主であるかのように刷り込まれた老人は、コロナウイルスへの感染の不安から予約へと殺到する。メールが繋がらない、電話が繋がらない、予約が取れない状況の報道、巨大な接種会場準備の報道、早くやらないととの不安をあおる。行政は、公平性を担保しようと、本人からの自主申請を優先する。65歳以上の高齢者に、自主申請での予約を原則にすることが公平なのかということも疑問である。ほとんどの高齢者は、医者にかかっている。高齢者の検診も受けている。この顔見知りの医者に相談しての接種を優先させれば、多くの高齢者は不安を持たずに接種が受けられる。混乱を招くこともない。地域に根付いた医療インフラを生かすことから病気への不安は解消する。
人との接触の多い職種から、社会的な影響を考慮した職場単位での接種を優先し、これに公募枠を設ければ混乱なく進められるものと考えられる。緊急時には、危険の優先度を明確にし、これを前提にした明確な方針を示すことが政治には求められる。緊急時に新たな手法を試みることの無謀さを考えなければならない。