2023年は、穏やかな新年を迎えた。今年1年間なにごともなく過ごしていけることを願う。年を重ねるごとに、日々の穏やかな1日の大切さを思う。

世の中は、正月早々穏やかではない。正月からウクライナでは戦闘が続き、北朝鮮ではミサイル発射が行われ、中国とアメリカの戦闘機が6㍍まで接近し一触即発の危険があったというニュース、日本を取り巻く環境も穏やかではない。

2023年度の予算も決まり、軍事予算が飛躍的に拡大した。専守防衛から敵地攻撃能力の向上を目指す軍備拡張へと大きく舵はきられた。力の均衡を保つことで戦争を抑止することができるという力の論理、戦後の米ソ冷戦時代、そしてソ連の崩壊後のアメリカとロシア・中国、これらにおいて、力の論理が均衡を保ってきたかに見える。しかし、現実的には圧倒的な軍事力を保持し続けるアメリカの一強体制による力による支配が戦後の安定期を創ってきたと見ることができる。アメリカはこれを脅かす動きには常に軍事介入も辞さない決断を下している。第2次大戦後は大国間の全面戦争は起こりえないという幻想を持たされてきたが、ウクライナへのロシアの軍事行動は、これを見事に打ち砕き、強国間の力による主導権争いが軍拡競争として激化させている。敵対関係を露わにした中で起こる偶発的な事故は、不信感を増大させ前面衝突への危険を増大させていく。

第2次大戦の悲劇は、私たちの親たち、祖父母たちが直に経験した事実で、まだ80年程度の歴史上の出来事である。戦場とかした地域での惨状、住民は逃げまどい、人間同士が殺し合い、多くの犠牲者を出し合う、破壊された建物群、寒さと飢えに苦しむ人々、地獄絵である。それが教訓として生かされず悲劇は、今の現代社会にも続いている。

新春3日の特集記事に吉永小百合さんへのインタビュー記事が載っていた。

「私が東京・渋谷で生まれたのは1945年3月13日、一晩で10万人以上が亡くなったとされる東京大空襲の3日後です。両親が必死で守ってくれたおかげで無事に生まれることができました。その年の夏に終戦を迎えたので、自分に戦争体験があるとは言えません。でも、俳優として、広島、長崎の原爆や沖縄戦を描いた作品に出演し、さまざまなことを学んできました。・・・」と話は続きます。終戦から78年、何気ない平穏な日々の大切さが優しい言葉の一言一言から伝わってくる。「戦争しない国いつまでも」それは、世界中の人々の願いでありながら、これを保つことの何と難しことか。今年も平和を考える1年となりそうである。