10月5日から第2回目の処理水の放出が始められた。
第1回目の放出は8月24日から9月11日までの19日間で7,788トン行われた。この期間中の放出については、毎日モニタリングが実施され、特段の問題になるような数値は確認されなかったと安全性が強調される報道が繰り返されている。第2回目の処理水の放出は、10月5日から17日間で7,800トンと第1回目とほぼ同程度を予定しているようである。(9月29日福島民友朝刊)
保管処理水は134万トンあるという。これを7,800トンで割ると約172回分となる。これが1ヶ月分とすれば172/12=14.3となり、14年間続くこととなる。何事もなく放出が続けられても気の遠くなるような期間である。しかし、現実は、廃炉作業が遅々として終われない中で処理水は生まれ続けていくことを思えば、廃炉が完了するまで処理水の海洋放出は続いていくと考えざるを得ない。
東電は処理水に含まれるトリチウムを、国の基準の40分の1に当たる1リットル当たり1,500ベクレル未満になるまで海水で薄め、沖合1キロメートルの地点に放出している。基準値以下の40分の1に薄め放出するのであれば検出されないだろうことは誰の目にも明らかであるが、7,800トンの中にどれだけの有害物質が含まれているのだろうか。何十年も放出し続けていけば、海は確実に汚れ続けていくこととなる。
世界中が原発再稼働への動きを強め、原発はCO2を排出しないクリーンなエネルギーとの宣伝が行われている。しかし、世界の原子力発電所は434基(世界の原子力発電開発の動向2021年度版)が稼働している。これらはすべてが冷却水を海に放出し、放射性廃棄物を生み出し続けている。原子力の廃棄物で安全と言えるものは何もない。水は不純物を沈殿させ、上澄みの水を流していくことで放出は可能とされるが、そこでできる沈殿物は放射性廃棄物となる。世界中の原発は海洋汚染と放射性廃棄物の山を積み上げ続けている。現状での処理水の安全性が原発の安全性に置き換えられていくことには不安が残る。
中国の水産物の輸入禁止が、常磐もののブランド化を助け、心配された風評被害が売り上げ拡大をもたらす皮肉な現状をつくり出している。