2024年度がスタートした。今年度の予算は3月28日に成立し、何とか年度末を超えずにすんだ。しかし、派閥の裏金疑惑で国会は紛糾し、予算の内容がどれだけの議論を行われ成立したのであろうか。政府案が国会に提出され採決が行われれば、結果は誰の目にも明らかである。過半数を占める自民党が政府案に反対するわけもなく、採択が行われれば確実に成立してしまう。そのため国会を差し置いて、政策決定の最高決議機関は、内閣の閣議決定であると揶揄されることとなる。

 今年の一般会計予算は112兆5,717億円と言うことである。

 防衛費と社会保障費は過去最大を更新しているという。防衛費は、中国・台湾の有事を想定した防衛予算の増額とされるが、それは、戦闘機の開発等を背景に拡大する軍事産業の本格的復活を推し進め、原子力政策の再稼働・推進路線への明確な転換を図っている。国の政策に後押しされて復活していく軍事産業、それは戦車や戦闘機だけではない日本の全産業を巻き込んだ軍需特需による経済効果をもたらす呼び水となる。デジタル庁の動きは、国民の生活全般に浸透し、国家による超管理社会(中国モデル)を目指して邁進しているように見える。ペーパレス、キャッシュレス、便利さだけが強調され、リスクに対する議論がほとんど行われていない。システム障害での事故も頻繁に起きているが、なりふり構わぬ推進への見直しは行われず、推進の加速化に向けた施策だけが強調される。その中で、デジタル情報化されたビックデータの蓄積は進んでいく。デジタル庁は組織横断的な組織であり、デジタル庁が関わる予算規模の全体像はほとんどわからない。

 地方に生活する私たちにとって直結する予算は、社会保障費と地方交付税交付金である。社会保障費は、少子高齢化社会に伴い複雑化する福祉課題の中で、年金等の自然増に対する減額等の改悪の改正を行いながらも追いつかない。地方交付税は、国の申請要件が厳しく地方自冶体の裁量権はほとんどない。国からの交付金に依存する地方自冶体では、地域課題へのきめ細かい独自の政策を実行できる余地をほとんど失っている。

 成立した予算と関連法の全体像がこれから徐々に明らかとなっていくことになる。しかし、成立した予算と関連法は、改正されることはなく一人歩きを始める。