4月は、毎年のことながら、入学、就職、転勤と生活環境も大きく変わり、新たなスタートを切る人は多い。新たな制度や法律もほとんどが4月から実施される。4月は、人間社会、そして、人生の大きな節目となる時期とも言える。
周囲の自然に目を移すと、冬の眠りから目覚めた大地が一斉に活動を開始する。日本列島は南から桜の話題が始まり日本列島を縦断し北海道まで1ヶ月ぐらいの旅が続く。福島もまもなくである。庭の草花も一斉に咲き始める。しかし、今年は、その草花の多くが見られない。福島市内の住宅地区の多くで除染作業が行われている。まちの公園、住宅の庭、街路樹、枝が切り落とされ、表土がはがされ新しい山砂が敷き詰められている。
仮設住宅の入居期間が4年間に延長された。当初は2年間とされ、昨年4月に1年間延長され3年となり、今年も今月になって再延長ということで4年となった。毎年その場しのぎの決定のように思える。将来への展望を持てないままの生活が続く。
春はすべてが温かい日差しとともに躍動し始める。しかし、反面でうつになる人も多い。この変化について行けない、取り残された人々、そこでは希望の光が不安をかき立てる。命の営みを理不尽にも摘み取り、不安な生活の中に留め置かれる人々、原発事故さえなければ普通の春が巡っていたはずが。起こってしまった結果は否定しても何も始まらない。しかし、現状を直視し対策を一つ一つ考えていくことでその不安を和らげることはできる。春の日差しはすべてに優しく降り注いでいるのだから。