命を守る食卓

3月は啓ちつ、春分をむかえ、生き物が動きだしてくる季節です。畑を観察すると、クモやガ、モグラやネズミが活動し始めていました。

ひまわり畑もそろそろ堆肥を入れる段取りをするところです。ことしも皆さんのご協力のもと、ひまわりをめでながらの交流や、自然との調和を考えた活動をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

また、タイトルに「命を守る食卓」と題しましたが、食料危機がすでに始まっており、食べ物についても何も考えずに食べていたら、さまざまな観点から大変なことになってしまいます。下記に単語を羅列しましたが、これらの問題点を挙げ、私たちの食卓にいま何が起きているのか、その扉を開いていきたいと思います。

遺伝子組み換え ゲノム編集 肥育ホルモン 農薬(グリホサート・ポストハーベスト) トランス脂肪酸 食品添加物 重イオンビーム米 食料自給率 新型栄養失調 フードテック

遺伝子組み換え

遺伝子組み換え牛ソマトトロピン

「ソマトトロピン」とは、遺伝子組み換え天然型ヒト成長ホルモン製剤のことです。これはもともと牛が乳を出すために分泌するホルモンを遺伝子操作で人工的に作り上げたものです。

月2回の注射で20%の乳量増加が認められているようです。モンサント社は人体への影響はないと発表していましたが、乳がんは7倍、前立腺がんは4倍の発がんリスクが高まるとの研究結果が出ています。また、この注射を打った牛は絶え間なく乳を出し続けるため乳房炎にかかりやすく、その治療のために抗生物質を与えられます。

ホルモン剤や薬物が残留しているかどうかは、今のザル状態の検疫では分かりません。また、輸入乳が脱脂粉乳や液体ミルクに加工され、乳製品や乳飲料、お菓子などに使われると、消費者が原料を知るすべはなくなってしまいます。

粉ミルクにも遺伝子組み換え原料

海外では遺伝子組み換え原料を一切使わない粉ミルクが増えていますが、日本の粉ミルクにはすべて遺伝子組み換え原料が使われています。

NON-GMO(遺伝子組み換えではない)粉ミルクはまだ日本にはありません。

なぜ日本の酪農を犠牲にしているのに輸入を止めないのか

国内の酪農家には「乳を捨てろ」と言いながら、乳の輸入を続ける…大きな矛盾です。これは1995年に乳製品の貿易自由化に伴う「カレントアクセス(原稿輸入枠)」の取り決めによるもの。カレントアクセスは、その輸入数量には低関税を適用しなさいという枠で、その数量を必ず輸入しなくてはならない「最低輸入義務」ではありません。しかし、日本は米国から必ず輸入すべき量を命令されている密約があるため、米国の命令とは言えず、国際的な「最低輸入義務」と言い張って履行しているという状況です。

油(トランス脂肪酸)の問題が深刻!

現在、遺伝子組み換えが行われている中で大量に輸入取引されているのは、大豆、トウモロコシ、コットン、菜種です。そのため、食卓に上がりやすい納豆や豆腐、トウモロコシなどは少し割高になっても国産品を選ぶことで安全は確保できます。コーン油は、100%輸入、菜種、コットンも同じ。大豆は6%とわずか。外食、お惣菜の揚げ油は輸入原料と考えられ、その中に遺伝子組み換え作物が使われている可能性は非常に高くなっています。

輸出の前に薬品が使われている

遺伝子組み換え作物に限らず、日本では、油の原料のほとんどを輸入に頼っています。その場合、製造国では輸出前に防かび剤、防虫剤が使われていると考えられます。その中には発がん性が疑われるものもあり、安全性に疑問があります。油として輸出される場合、抽出時に薬品を使ったり安定剤を加えたりすることもあるようです。

危ない油が脳に悪影響を与える

フランスのカーン大学のラットを使った研究では、遺伝子組み換え作物を90日を超えて食べ続けさせると、はれものができてほとんどが寿命をまっとうできずに死んでしまったそうです。

ラットの寿命を人間に置き換えると、10年食べ続けた場合にがんになってしまう計算です。

前述した4種の遺伝子組み換え作物を原料とする油を避けるといった自衛が必要です。脳やホルモンの原料となるのは、油脂から作られるコレステロール。私たちの体と頭脳を健康に保つためには、良質な油脂が必要なのです。

終わりに

今回お伝えしたい項目が10個ありましたが、遺伝子組み換えとトランス脂肪酸についての2項目となってしまいました。次号も引き続き「命を守る食卓2」としてお伝えさせていただきたいと思います。いまの食べ物の実情を知り、共に家族を守る対策をしていきましょう。

参考資料

  • 宝島社『命を守る食卓』安田 節子・印鑰 智哉・鈴木 宣弘