8月の猛暑。広島、長崎の原爆の日が今年もやってくる。広島への原爆投下後の写真が新聞を飾る。いまだに新しい映像や写真が公開される。旧ソ連の調査団の写真が戦後70年を過ぎて初めて公開された。見渡す限り荒野とかした街並み、津波によって一瞬にして荒野とかした街の姿と重なる。
強力な破壊力の前には、営々と築き上げて来た人間社会とその営みは一瞬にして消え去る。そこには、人間が作り上げた爆弾と自然が牙をむく大災害、平凡な日常を生きる人たちを一瞬にして呑み込み破壊しつくした姿がある。戦争の悲劇が終戦記念日に向けて語られる機会が増えていく。オバマ大統領も今年は広島を訪れた。退任をまじかにして国連の安保理事会に核実験禁止への決議案を準備しているということである。これが北朝鮮への直接的な軍事行動への準備となることを危惧する。核廃絶に向けての動きが世界的に進むことを願いたい。
安倍政権の内閣改造で第三次安倍内閣が誕生した。被災3県からの大臣はいなくなった。29年3月で仮設住宅は原則終了する。帰還困難区域の解除も一部地域を除き完了する。災害復興のための非常事態は終了し、平常時に戻ったとの判断の現れのように思える。原発再稼働、憲法改正、外部に緊張関係を拡大することで内政を有利に展開しようとする外交政策、参議院選挙の結果を受け、安倍政権の総仕上げの内閣として取り組むことが予想される。内需拡大を軍需産業の拡大で誘導することのないように願う。空母を三隻も建造することになれば、そのすそ野はほとんどの産業にまたがり、短期的には内需を喚起する。しかし、それは世界を巻き込む悪魔の魔のスパイラルを加速させる。
八月というこの時期、戦争と破壊、そこには、人間の尊厳を否定しあい殺戮を繰り広げた人間社会、お互いが加害者であり被害者となった歴史の教訓を改めて問い直すことが求められている。