「第200回臨時国会が4日召集され、安倍晋三首相は衆参両院本会議で所信表明演説を行った。」参議院選挙後の安倍政権、新内閣組閣後の国会が開幕した。この所信表明演説を伝える新聞記事、何気なく見ていると不思議な疑問が湧いてきた。
安倍首相と安倍総理大臣、何が違うの?
衆参両院本会議の所信表明は、両院の議員が一堂に会して行われるの?
第200回とはいつから数えて200回なの?
開会式での天皇陛下の役割は?
所信表明演説の内容と政策の整合性は?
国会について、私たちはどれだけ知っているのだろうか。ほとんど何も知らないままに過ごしてきたように思う。
首相と呼ぶのは、議会で内閣総理大臣を呼ぶ時の慣用語として使われていると言うことである。通常の審議は、両院で別々に行われるが、所信表明演説は、両院全体で行われるようである。1947(昭和22)年5月20日の第1回国会が、日本国憲法施行に伴い招集された。それから72年を経て第200回国会となっている。この日本国憲法が改憲論議の対象となっている。戦後まもない中で作られた日本国憲法、72年を経た現在、何も問題ないということに無理はあるが、具体的な改憲案をみんなで出し合い議論しあう環境にあるのかどうかがとなると心配である。
開会式での天皇陛下の挨拶は、象徴天皇の重要な国事行為となっている。その中で「国会が、国権の最高機関として、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します。」と述べている。国会の役割を的確にまとめている。この天皇の立場と国民の立ち位置が改憲論の内容によっては大きく変わる。72年前の明治憲法では、天皇が国家元首であった。現憲法では象徴天皇とされている。国民主権を前提にして、国会が国民の信託による国権の最高機関となる、この関係は改憲論議で崩してはならない前提である。
首相は演説の中で、1億総活躍社会として「若者もお年寄りも、女性や男性も、障害や難病のある方も、さらには、一度失敗した方も、誰もが、思う存分その能力を発揮できる、1億総活躍社会を、共に、創り上げようではありませんか。」と訴えている。全く同感であるが、これが政策となると、「70歳まで就業機会を確保します」となる。年金が払えないので、定年退職後もまだまだ企業で働きなさいと言われている。地域では、地域を支える元気な老人が企業に奪われていく。誰が地域共生社会を牽引して行くのか。多種多様な人々の思いを政策にして行く時、政策者の立ち位置がどこにあるのかで全く異なる政策となる。多くの人々の思いを反映できる国会になることを切に希望したい。