改正刑法が6月1日施行された。刑罰の種類が変わるのは、刑法が制定されて以来初めてという。刑法の条文を見ると、明治40年(1907年)法律第45号と書いてあるのが目に入る。既に118年が経過している。この改正刑法は、刑事訴訟法等の一部改正する法律として令和5年法律第28号として公布されており、2年間の期間をおいて施行されたことになる。

国会で可決されると法案は法律として公布されるが、ただちに施行される場合と一定の猶予期間をおいて施行されるものがある。しかし、刑法が改正されていたことは、1日の紙面(福島民友・朝刊)の〝改正刑法きょう施行〟の記事で初めて知ることとなった。「懲役と禁錮を廃止し『拘禁刑』に一本化する改正刑法が1日、施行された」と報じられているが、何がどうなったのか。内容とそれにより何が変わったのか。障がい者の多くが再犯を繰り返し、刑務所にあふれていると言う話は聞いたことがあるが。2日の1面の見出しに〝拘禁刑を導入、刑罰転換、『懲らしめ』から『立ち直り』へ軸足移す〟(朝日新聞)と書かれていた。

刑法を確認すると第9条「刑の種類」に改正前(令和5年7月13日施行)は「死刑、懲役、禁錮、罰金…」となっていたが、今回の令和7年6月1日施行では「死刑、拘禁刑、罰金…」と変わっている。懲役では「拘置して所定の作業を行わせる」となっているが禁錮では“拘置する”だけで、刑事施設に拘置するということは同じであった。これが、拘禁刑(第12条)では、「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。」と変わっている。懲役刑では強制労働を定められていたが、これを廃止し、今回の改正で、刑法が犯罪者の更生を図ることを目的にすることを明確にしたものであることがやっと理解できた。

刑法には、罪について40章ものページを割いて列挙している。これが善良な市民に向けられれば多くの被害者を生じる。これを避けるため、加害者を拘束し刑を与える。刑期を終えると再び一般社会に戻されるが、前科者となるとなかなか一般社会には受け入れられず再犯を繰り返し再び刑務所に戻っていく。犯罪者も広い意味では障がい者であると考えれば、そこには現代社会が抱える障がい者問題への対応の課題がそのまま当てはまる。この刑法改正が、社会に適応できない者を排除する社会から更生包摂できる社会への転換の一契機となることを願う。