第27回参議院選挙は3日に公示された。20日の投票に向けて、各党最後の追い込みに必死のようである。都議選では「都民ファーストの会」が第1党となり、自民・立憲は伸び悩んだ。自民党が大勝することは考えられないが、世の中の動きとともに混迷した状況は続く。

混迷した状況を、今を生きる自分たちの環境と捉えれば、今を生き抜くための判断を一人一人がしなければならないことを意味する。都議選においては、生活現場から政治を変え生活が良くなってもらいたいとの願いが都民ファーストを押し上げたと思う。国においても、国民の生活現場を理解し生活を良くしていく政治家と政党を選ばなければ選挙の意味は無い。一党独裁の中では、すべてが閣議決定で決まる状態が続き国会が軽視されてきたが、混迷の中でこそ国会の役割として、真の民主主義の協議の場とならなければならない。

1日の朝刊(福島民報)に、「帝国データバンクは30日、7月に値上げされる食品が、2,105品目と前年比の約5倍になるとの調査結果を発表した」との記事が目に入る。米から食料品、生活必需品が軒並み値上がりし、値下がりしているものを探すのが難しい。税や社会保険料の問題は、既に予算の決定した3月までの国会で法案が成立し、具体的な実務レベルでの準備に入っている。法人税(現行:法人税・地方法人税)に新たな防衛特別法人税が加わり、令和8年4月からは法人税の中に3つの税目の区分ができる。所得税も103円の壁から始まり課税最低限は160万円に引き上げられたが、他の控除額等が細分化され、社会保険の改正(6月13日成立)と併せると、誰がどれだけ恩恵に預かれるのかは良く解らない。抽象的な政治論議と行政内での具体的な取扱の決定には違和感をおぼえる。

円安は輸出を有利にし、物価の上昇は企業利益に貢献し、庶民の可処分所得を圧迫する。経済環境の急変は、企業間格差を広げ、景気の安全弁としての非正規雇用を増加させる。2024年度の税収額が財務省から発表された(7月3日 福島民報・朝刊)。「税収、過去最高75兆円5年連続更新」の見出し、社会状況が企業利益に貢献し、税収を予想以上に押し上げたことを事実が証明した形となった。しかし、この事実が日本への強気なトランプ関税の背景ともなっているのではなかろうか。

人は一人一人、年齢、性別、職業、独身・既婚…と違い、複雑化した経済環境の中でただちに共通項を見いだすことは至難の業ともいえる。何にこだわり、何を大切にしているのか前提を確認し合いながら、具体的な課題を主体的に考えていく一人一人の姿勢が、民主主義の質を決めていく。一人一人の命を大切にしながら、それぞれの中で具体化した課題を共に考えていく中から、国会が真の民主主義の協議の場となっていくことを願う。